記事のポイント
- BCBS、会合開催
- 暗号資産の取り扱い
- 「リスクを適切に反映すべき」
- 準備金利用を検討するベネズエラ
金融庁は10月30日から31日にバーゼル銀行監督委員会(Basle Committee on Banking Supervision/BCBS)によって開催された会合の議事要旨を公表した。BCBSは暗号資産が資産としては未熟な段階であり、リスク管理を適正に行える体制を整えるべきとする見解を示した。
BCBS、会合開催
11月5日、金融庁は10月30日から31日にバーゼル銀行監督委員会(Basle Committee on Banking Supervision/BCBS)によって開催された会合の議事要旨を公表した。BCBSはG10諸国の中央銀行総裁らの合意によって創設された国際的機関であり、銀行の監督に関する継続的な協力のための協議を行うことから「中央銀行の銀行」と呼ばれる。銀行の自己資産比率に関する規制[バーゼル合意]を策定しているほか、銀行の監督およびリスク管理に関する様々な実務を行っている。今回の会合では以下5点についての議論が行われた。
- 信用評価調整リスクの枠組みをその他のバーゼルⅢの基準と合わせ、2022年1月に実施
- 2019年1月に最終化された市場リスクの枠組みに関する開示要件の修正案合意。またこれに合わせ任意の性質の開示テンプレートの市中協議を行うことにも合意
- 暗号資産の健全性規則上の取り扱いに関する議事次第公表に合意
- 健全性規制当局と資金洗浄やテロ資金供与対策に責任を有する当局との協力強化に関するガイドラインの市中協議を行うことに合意(ガイドライン案は来月公表予定)
- アルゼンチン・中国における安定調達比率(NSFR)および大口エクスポージャー規制の実施状況を審査した報告書のレビュー
- エクスポージャー(Exposure) 経済的なリスクの程度。投資家や企業が持つ金融資産(ポートフォリオ)の中で、市場の価格変動のリスクにさらされている資産の度合い(割合)のことを意味する。
暗号資産の取り扱い
前述の通り、BCBSは10月30日・31日に開催された会合の中で、暗号通貨の地理扱いに関する見解を述べた。BCBSは銀行の暗号資産エクスポージャーに係る健全性規制上の取り扱いに関して、暗号資産の高いリスクを適切に反映すべきとの見解を改めて表明。また、暗号資産市場において現在進められている取組みを踏まえ、暗号資産の健全性規制上の取扱いに関連した広範な事項について、 関係者の見解を求めた。
2019年3月、BCBSは世界の銀行に対して暗号通貨に関するリスク警告を実施。この内容は価格変動リスクの高さから金融安定への悪影響を及ぼす可能性や暗号資産が決済手段として扱うには未熟すぎる資産であると判断したものとなっていた。また、資産クラスとしても未熟な暗号資産のリスクを適切に確認し、対応できるよう同分野での技術的専門知識を有しておく必要があるともし、規制対応に対する慎重な姿勢を示していた。
今回の見解もこれと同様のものであり、「リスクを適切に反映すべき」として関係者の見解を求めた。
まとめ
暗号資産に関しては、価値の担保がないもの、あるもの、サービス利用権利として存在するものと様々な特性がうまれ変化が激しいまだ成熟していない資産である。それゆえにリスク管理が難しく、適切に対処できるよう態勢を整えていく必要性が各規制機関で指摘されている。ただ、ベネズエラのように自国通貨が全く機能しないために中央銀行の準備金として暗号通貨を検討する動きも存在しており、金融安定・犯罪利用防止のためにも早急に適切な規制が設けられる必要がある。
関連記事