記事のポイント
- イタリアで、BTC決済普及
- 反Libraでも暗号通貨に友好的な欧州
- イタリアの動き
- 政務残高のGDP比が130%のイタリア
市場分析のSEMrushの調査によって、イタリアではビットコイン決済が普及しつつあることが判明した。同国は日本と同じく債務返済に追われている国であり、国内の金融・経済の未来に不安を抱いている国民も多く、暗号通貨への期待も大きい。
イタリア、BTC決済普及
10月28日、市場分析のSEMrushの調査によって、イタリアではビットコイン決済が普及しつつあることが判明した。同国においてはインターネットで買い物をする回数が急速に増加している。そうしたなかでビットコインは電子上の決済方法としてPayPal,同国のプリペイドサービス[PostPay]に次ぐ第3位の決済方法となっている。以下第3位決済手段の一か月の平均使用回数である。
- PayPal 138.3万回
- PostePay 117.5万回
- Bitcoin 21.58万回
上位2つの決済方法との利用回数には大きな差がみられているものの、同国では毎月平均で約21万回もビットコインを利用した決済が行われており「決済手段としては機能しない」「普及しない」とされていた暗号通貨への見方が変化しそうである。
- Bitcoin(BTC) 2009年、サトシ・ナカモトによって発表された論文をもとに開発された最初の暗号通貨。同通貨の始まりのブロックには政府が経済に介入していることに関する新聞記事の見出しが書き込まれている。時価総額は1位であり、暗号通貨の中心的な存在である。
反Libraでも暗号通貨に友好的な欧州
30日、欧州にて反Libra(リブラ)同盟が発足。フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、そしてイタリアの5か国からなるこの同盟は、Facebookが主導する暗号通貨プロジェクトの開始を阻止するものとなっているが、参加国らは暗号通貨そのものに対して批判的というわけではない。暗号通貨の税率を見直し、規制明確化に動くフランスやブロックチェーン技術推進計画を発表したドイツ。そしてイタリアも暗号通貨に関する明確な規制を設けてはいないものの有効的な国の1つである。
イタリアの動き
イタリアは前述の通り暗号通貨に関する明確な法規制は存在しないものの、暗号通貨取引に過度な税制をかけることや利用を規制することもなく、その定義を時間をかけて整備しつつある。同国の目立った動きとしては以下の通りである。
- 2016年 暗号通貨と法定通貨の交換は税空所の対象外。付加価値税は課されないが商業取引の損益では法人税が課せられる。一方商業以外の取引では課税所得に該当しない。
- 2017年 暗号通貨は外貨と並ぶものとして分類。従って暗号通貨取引所も規制。
- 2018年 暗号通貨関連事業者に対し、その活動を当局へ報告する義務を付与
- 中銀「デジタル通貨発行で、EUは760億ユーロ節約が可能」
- 2019年 European Blockchain Partnership(EBP)議長国に就任
明確な法規制整備が進んでいないものの、同国中央銀行はデジタル通貨発行に前向きである。ただ、同国がEUの移行に沿わず独自で発行しようとする動きが一時期話題となり、経済に悪影響を与えると非難されていた。
まとめ
同国は日本と同じく債務返済に追われている国であり、国内の金融・経済の未来に不安を抱いている国民も多く、暗号通貨への期待も大きい。2018年10日、ユーロ圏の財務相らはイタリアの経済財政計画に対して欧州連合の財政ルールを遵守するよう警告。イタリア国債を多く保有するフランスやスペインなどに金融不安が飛び火するリスクが懸念されていた。イタリアの政務残高のGDP比は130%と、ユーロ圏においてはギリシャに次ぐ2番目の高さであり、欧州ではイタリアの財政状況に不安が集まっている。そうしたなかで国際的な価値を持つ暗号通貨は魅力的にみられるのだろう。
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参考:[E-commerce in Italia: crescono acquisti e fiducia nei metodi pagamento online]