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量子コンピュータはビットコインの脅威となるのか

記事のポイント

  • 「量子コンピュータ」暗号通貨の価格に影響
  • 量子コンピュータの誕生が危惧される理由
  • 量子コンピュータは「脅威」となるのか
  • 量子コンピューターは万能ではない
  • 暗号の安全

Googleが量子コンピュータを利用して難解な計算問題を極めて短時間で解くことに成功したと発表したことを受け、暗号通貨の代名詞であるビットコイン(Bitcoin/BTC)の価格が急落した。従来コンピュータの1万倍~1億倍もの性能を誇り、現在利用されている暗号・パスワードも、量子コンピュータにかかれば数秒で解読されてしまうとされていることから、堅牢とされている暗号通貨のセキュリティ性が揺らぐのではないかと危惧されているのである。しかしながら、量子コンピュータは脅威となるとされる一方で、そのセキュリティをより強固なものにする存在ともされている。

 

「量子コンピュータ」暗号通貨の価格に影響

1023日、Googleが量子コンピュータを利用して難解な計算問題を極めて短時間で解くことに成功したとNature(ネイチャー)で発表したことを受け、暗号通貨の代名詞であるビットコイン(Bitcoin/BTC)の価格が急落した。これは、ビットコインを支える暗号化技術・ブロックチェーン技術が量子コンピュータによって、セキュリティが機能しなくなるのではないかという懸念によるものである。

この量子コンピュータに関する報道で暗号通貨の価格が動くのは今回が初のことではない。1月に世界的な技術企業IBMが世界初となる商用量子コンピュータ[Q System One]の発表を行った際にもこうした動きが見られた。

 

量子コンピュータの誕生が危惧される理由

ブロックチェーン技術は引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげ、取引履歴・情報を正確に維持しようとする技術であり、暗号化技術とP2Pを組み合わせたものとなっている。この技術をもとに作られた暗号通貨はその保有を「秘密鍵」で証明する。ビットコインの秘密鍵は64個の16進数で表記され1から2258乗間の数字から導き出される非常に大きな数字となっており、これを現在のコンピュータの演算能力で解読することは処理時間から不可能に近いとされている。

しかしながら量子コンピュータでは従来のコンピュータでは解決不可能な複雑な演算を行うことも可能であり、現時点では実用化されていないとはいえ量子コンピュータの制度が向上することで、秘密鍵を暴くことも可能になるのではないかともされている。そのため、量子コンピュータによって、現在「耐改竄性が高く安全に資産を管理できる」とされているブロックチェーン技術を活用した暗号通貨のセキュリティ性が不安視されているのである。

また、こうした問題の中で「取引所でハッキングが起きている」「元から資産を安全に管理できていない」という意見もみられるが、それは秘密鍵を管理している取引所が秘密鍵を盗まれてしまったために起きた問題であり、秘密鍵そのものが破壊された・暴かれたというものではないため別の問題である。

 

量子コンピュータは「脅威」となるのか

前述の通り、量子コンピュータが暗号通貨・ブロックチェーンの脅威となる可能性の根拠として挙げられるのは、「高い演算能力によって秘密鍵が暴かれてしまう」というものである。確かに、この量子コンピュータがたった一人の開発者によって開発され、他者には利用不可能な状態である場合は、圧倒的な演算能力を用いてビットコイン含めた多くの暗号通貨を支配することが可能になる。

しかしながら、実際にはGoogleIBMNECと多くの企業が量子コンピュータの研究開発、実用化への取り組みを進めている。こうした取組によって多くの人が量子コンピュータを利用可能になると、管理者の存在しない暗号通貨ネットワークはより演算能力の高いコンピュータによって構築されることとなり、その安全性が高まるとされているのである。

また、量子コンピュータは確かに従来のコンピュータと比較した際に驚くべき演算能力を持っているが、決して「あらゆる計算を解読することが可能」というわけではない。「耐量子性」の暗号開発や現時点でも量子コンピュータが苦手とする分野が存在しており、コンピュータですべてが暴けるとするのは過大評価なのである。しかしながら、Googleの実証によって従来のコンピュータでは1万年かかるとされた計算を量子コンピュータが3分20秒とわずかな時間で解読することに成功したのは事実である。しかし一方で、この比較対象とされた既存コンピュータに問題があり、IBMは「従来のコンピュータでもそこまで時間はかからない」と指摘されているなど、この論文に懐疑的な意見も存在している。

 

暗号の安全

「暗号」に関しては古くから存在し、王や将軍といった支配者たちが正当な受信者以外に情報が渡ることを避けるために暗号開発が行われており、紀元前3000年頃のバビロニア時代から、暗号技術は利用されていたとされている。だが、暗号化技術は一度作成して終わりではなく、常にその暗号を解読しようとする脅威にさらされている。ブロックチェーン技術もそうした脅威にさらされており、量子コンピュータがその代表的なものであるとされているのである。

ただ、ブロックチェーン技術が注目されているのはこの技術が唯一の技術者によって支えられているのではなく、複数の監視者・参加者によって管理され特定の管理者がいないという点である。唯一の管理者によって支配されていないからこそ量子コンピュータのような存在が現れた時、それを強みとする可能性を持っているとされているのである。

 

まとめ

従来のコンピュータでは解決不可能な複雑な計算を行い、素早く演算を行うことが可能であるとされている量子コンピュータ。これによって堅牢とされている暗号通貨のセキュリティ性が揺らぐのではないかと危惧されているが、その可能性とともに暗号通貨のセキュリティ性をより強固なものにする可能性も存在している。

日本政府は、量子コンピュータの実用化を見据え量子コンピュータでも解読が困難とされる格子暗号や多変数多項式と呼ばれるものを活用しようとする動きがある。

 

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参考:Nature[Quantum supremacy using a programmable superconducting processor]

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