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金融犯罪とオリンピック[対日審査と金融機関の取り組み]

記事のポイント

  • 東京オリンピックと金融犯罪
  • 対日審査と金融機関の取り組み

G20では、懸念点が多く存在している状況でのデジタル通貨発行は禁じる方針が決定したが、デジタル通貨が発行されずともフィンテックの普及によってキャッシュレス決済などデジタル化の動きが見られており、既存の監視体制の見直しが求められている。こうした資金洗浄やテロ資金供与対策などが懸念されている中で、日本は巨額の資金が動き犯罪集団の標的となりやすいオリンピックを開催する。デジタル金融での日本金融機関の対策・行政の対応が注目されている。

 

金融犯罪とオリンピック

19日、閉幕した20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)では、デジタルコインの利点を評価しながらも、現時点では犯罪利用された際の対策・監視体制が万全でないことや世界経済・金融安定へどのような影響をもたらすのか未知数であり、懸念が多く存在するためこれら課題が解決されるまでは各国でデジタル通貨の発行は認めない方針が決まった。

しかしながらキャッシュレス決済などを含めたデジタル化によって、デジタル通貨が発行されなくとも、資金洗浄やテロ資金供与対策などといった犯罪対策には強化・見直しが求められている状況である。特に近年ではサイバー空間などでの新たな技術が急速に進展しこれまでの態勢では監視が不十分であることやウイルスの脅威が高まっていることが指摘されており、重要課題となっている。各国の銀行監督局で構成されるバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、フィンテックの普及により李金融サービスの利便性が向上する一方で、透明性が低下し資金洗浄やテロ資金供与の根絶がより困難になることを指摘。20193月に公表した警告文では暗号通貨含め、リスクを適切に確認し対応できるよう同分野での技術的専門知識を有しておくことが必要不可欠であるともしていた。

こうしたフィンテックの普及の重要性とそれに伴う規制環境見直しの必要性が指摘される中で巨額の資金が動くオリンピックを開催する日本の金融犯罪対策が注目される。

  • G20 国際金融システムの議論や主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長達成に向けて協力することを目的としたフォーラムであり、1999年以降毎年開催されている「金融・世界経済に関する首脳会合」。近年では議論の進展がないこと、協力関係がうまく築けていないことなどから「形骸化している」ともされている。
  • バーゼル銀行監督委員(Basle Committee on Banking Supervision/BCBS) 1974年、G10諸国の中央銀行総裁らの合意によりスイスのバーゼルに創設された国際的な機関であり、銀行の監督に関する継続的な協力のための協議を行う機能を有することから、中央銀行の銀行と呼ばれる。銀行の自己資本比率に関する規制[バーゼル合意(BIS規制)]を公表し、銀行の監督およびリスク管理に関する様々な実務を世界的に促進・強化に取り組んでいる。国際決済銀行(BIS)に事務局を置き、4年に1度定期委員会を開催している。

 

対日審査と金融機関の動き

麻薬・賄賂・脱税に係る資金洗浄やテロ資金供与への国際的な対策を協議する国際機関[金融活動作業部会(FATF)]は、対策強化のための審査・監督等を定期的に行っており、日本は201910月下旬よりこの審査が行われる。審査はこれまで対象となっていなかった仮想通貨交換業者も新たに対象とするほか、民間金融機関への立ち入り審査が行われる。しかしながら同審査の結果報告書は20206月に公表される予定となっており、11年前に行われた審査同様の悲惨な結果となれば、日本では巨額の資産が集まるのにもかかわらずその資金に関する犯罪リスクを抱えたまま東京オリンピックを開催することとなる。

FATFでは合格評価をもらうことは困難とされるほど厳格なものとなっており、第4次相互審査を受けた国は23ヵ国存在するがこのうちの5ヵ国のみが合格水準に達している。日本は前回(11年前)に行われた審査で資金洗浄やテロ資金供与対策などの犯罪防止策が機能していないことなどから国際的な批判が行われ、日本との取引ではリスクが高まるといった国外企業の動きも見られた。この二の舞にならないよう、財務省・金融庁では立ち入り審査などの取り組みを進めているほか、金融機関が技術機関と協力し、不正利用防止監視ツールを策定し販売するなどの動きが見られている。

  • 金融活動作業部会 Financial Adtion Task Force(FATF) 麻薬・賄賂・脱税に係る資金洗浄やテロ資金供与への国際的な対策を協議する国際的な政府機関である。G7を含む35か国と2つの地域機関(欧州委員会・湾外協力会議/合計190以上の国・地域)が加盟している。

 

まとめ

サイバー対策などで批判を集めることも少なくない日本政府が、デジタル金融での犯罪対策がなされているのか注目が集まる。金融機関らはブロックチェーン技術を活用し、相互に不審な情報を共有することで不審な取引を未然に防ごうとする動きやブロックチェーン上で個人情報を保管することで不正アクセス・不正取引を摘発しようとする動きが見られており、これがFATFの審査の中でどう評価されるのかにも関心が寄せられている。

  • ブロックチェーン技術 取引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげ、取引履歴・情報を正確に維持しようとする技術であり、P2Pネットワークを利用することで中央管理者を必要とせずにシステムを維持することが可能なものとなっている。分散され、中央管理者がいないため、データの改ざん・破壊に強いという特徴のほか、サーバーのダウンや中央管理者による不正にも強いものとなっている。

 

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参考:BCBS[Sound practices: Implications of fintech developments for banks and bank supervisors]

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