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懸念が払しょくされるまでは発行を認めない方針[G20]

記事のポイント

  • G20、閉幕
  • デジタル通貨に関する議論
  • デジタル通貨発行は「深刻なリスク」
  • 懸念が払しょくされるまでは発行を認めない方針

20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)は閉幕した。デジタル通貨に関して最高水準の規制を求めることで一致していたG7での議論同様、G20でも懸念を払しょくできるまでデジタル通貨の発行は各国が認めない方針となった。ただ、各国は懸念を示したもののデジタル通貨の持つ利点も評価していることが明らかとなった。

 

G20、閉幕

1019日、20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)は閉幕した。今年は日本が議長国を務め、変化しつつある経済構造、デジタル化に合わせた企業への課税方式を議論するとともに、国際的な注目を集めるFacebookが主導する暗号通貨プロジェクト[Libra(リブラ)]などのデジタル通貨に関する議論が行われた。

  • G20 国際金融システムの議論や主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長達成に向けて協力することを目的としたフォーラムであり、1999年以降毎年開催されている「金融・世界経済に関する首脳会合」。近年では議論の進展がないこと、協力関係がうまく築けていないことなどから「形骸化している」ともされている。

 

デジタル通貨に関する議論

G202日目では、GoogleFacebookといった国際的に広くサービスを展開する企業に対しての新たな課税方法の検討やFacebookが主導する暗号通貨プロジェクト[Libra(リブラ)]がもたらす金融システムへの影響についての議論が行われた。

この中でG76月に設立した暗号通貨規制に関する対策チームの報告書として、ステーブルコインがもたらす課題やリスク、資金洗浄やテロ資金供与対策などでの問題などに関する文書を提出。国際組織である金融活動作業部会(FATF)は、暗号通貨だけでなく価値が安定しているデジタル通貨に関しても規制対象とする新たな規制方針を明確にした。また、主要国の金融当局からなる金融安定理事会は「既存の規制・監視環境をどう会応用できるか検討し、国境間取引に適用する必要がある」と対応変化の必要性を訴えた。

  • FSB Financial Stability Boardの略称。金融安定理事会。主要25ヵ国・地域の中央銀行、金融観特区当局、財務省、主要な基準策定主体、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、国際決済銀行(BIS)、経済協力開発機構(OECD)などの代表が参加している理事会。金融システムの脆弱性への対応や金融システムの安定化を担う機関の協調促進を目的としている。
  • 金融活動作業部会 Financial Adtion Task Force(FATF) 麻薬・賄賂・脱税に係る資金洗浄やテロ資金供与への国際的な対策を協議する国際的な政府機関である。G7を含む35か国と2つの地域機関(欧州委員会・湾外協力会議)が加盟している。

 

デジタル通貨発行は「深刻なリスク」

前述の意見交換が行われたうえで、各国はデジタル通貨発行を深刻なリスクとして判断していることが明らかとなった。7月に開催されたG7においても議長国であるフランスが会合後記者会見で「各国が揃ってLibra構想に懸念を示した」「通貨発行という国家主権は侵害されるべきではない」と発言したように、今回のG20後記者会見において議長国日本は「懸念がある状態でデジタル通貨を発行することに関して賛成している国はない」と発言した。

各国らはデジタル通貨発行による高速かつ低コストでの送金利便性向上、金融サービス全体の向上・コスト削減といった利点を評価しているものの個人情報の流失や「管理者が存在しない」ことによる資金洗浄やテロ資金供与といった犯罪を取り締まることが困難になることなどの懸念点が多いことも指摘。これら懸念を払しょくできるまで、各国が発行を認めない方針となった。

 

デジタル通貨の懸念点

今回の議論の中では中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)は金融コスト削減や業務効率化に貢献すると評価され、これと同様に金融機関が業務効率化のために発行するコインも発行の妥当性を研究すべきだとする前向きな意見がみられた。この金融機関らが発行するコインとしてはJPモルガンによるJPMコインのような金融機関内で通用するコインのことを指す。

一方でFacebookらによるLibraをはじめとする非金融が発行しながらも、国際的な信用力のある法定通貨などを担保とすることで価値が安定しているコインに関しては、裏付け資産の管理方法や利用者保護、担保とする資産への影響などに関して議論を進める必要があるとされた。

金融機関らによるコインは利便性向上が期待できながら、これまで同様に中央管理者が存在するため、規制や監視が効力を持って犯罪を取り締まることが可能となると期待されている。

  • Central Bank Digital Currency(CBDC中央銀行が発行するデジタルコインのことを指す。日銀は「デジタル化されていること」「円などの法定通貨建てであること」「中央銀行の債務として発行されること」の3つの条件を満たしたものをCBDCとしている。資金洗浄・テロ資金供与対策につながることや現金の発行・管理コストが抑えられることなどが注目されているものの、発行量や利用範囲・保有・発行形態など、発行したのちの影響だけでなく、発行するにあたっての課題も多く存在している。

 

まとめ

G20では、懸念を払しょくできるまでデジタル通貨の発行は各国が認めない方針が示され、閉幕した。ただ、法規制や犯罪対策での懸念がみられる一方で、デジタル通貨がもたらす恩恵も適切に評価されており、CBDCに関しては前向きな考えを持っていることが明らかとなった。

 

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