記事のポイント
- LastRoots、第三者割当増資実施のお知らせ
- オウケイウェイヴとの連携強化
- 取引所「c0ban」を運営するLastRoots
- 仮想通貨交換業とみなし業者
- オウケイウェイヴの暗号通貨業界での動き
株式会社LastRootsは同日開催された臨時株主総会において、株式会社オウケイウェイヴを引受先とする1億円の第三者割当増資を行うこと決議したと発表した。
LastRoots、第三者割当増資実施のお知らせ
9月25日、株式会社LastRootsは同日開催された臨時株主総会において、株式会社オウケイウェイヴを引受先とする1億円の第三者割当増資を行うこと決議したと発表した。両社は1月に資本・業務提携を締結し、2月にはオウケイウェイヴがLastRootsを持分適用関連会社化したことを発表。3月にもオウケイウェイヴを引受先とする3.5憶円の第三者割当増資を決議したと発表し、その連携強化を図ってきた。今回の第三者割当増資もその一環である。また、LastRootsは国内唯一の仮想通貨交換業みなし業者であり、オウケイウェイヴとの連携強化とともに、正式な交換業者としての登録を完了させるためにセキュリティ・サービスの改善を進めるための開発資金を得るためのものでもある。
取引所「c0ban」を運営するLastRoots
LastRootsは2016年6月に設立、7月に日本初となる[c0ban.tv]のICOで6億円超の資金調達に成功したブロックチェーン企業。このICOでは動画広告が完全視聴され、より効率的な広告プラットフォームを構築することを目指して、暗号通貨と動画広告を組み合わせて開発されたものとなっており、国内外で注目を集めた。動画広告を完全視聴すると暗号通貨を得られるという仕組みは、視聴者に動画を見るインセンティブを与えることができ、多くのメディアに取り上げられた。
2017年3月に暗号通貨取引所[c0ban]を開設し、2018年4月にうけた業務改善命令の改善措置を計画的に履行しつつ、同年11月にはブロックチェーンソリューションk1ban(キバン)の提供を開始。2019年1月4日には一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)に第2種会員として入会を果たした。同社はSBIホールディングスから2度の出資を受けるなどその技術などが評価されてきた。ただ、同社は仮想通貨のみなし業者であり、未だ正式な業者ではないこと、登録に時間がかかりすぎていることから不安を募らせる利用者も存在している。
仮想通貨交換業とみなし業者
仮想通貨交換業に関する登録制度導入は2017年4月、資金決済法が改正され行われた。この登録制度の導入により、以下3つのいずれかの行為を不特定多数に繰り返し行うことが「仮想通貨交換業」と定義され、業を行うに金融庁・財務当局での登録が必要となった。
- 仮想通貨の売買的は他の仮想通貨との交換
- 1に掲げる行為の媒介、取次または代理
- 1・2に掲げる行為に関して利用者の金銭又は仮想通貨の管理を行うこと
制度導入当初は国内に16社ものみなし業者が存在していたが、2018年にはその登録審査の厳しさからコインチェック、楽天に買収されたみんなのビットコイン(現:楽天ウォレット)、LastRootsの3社に数を減らし、現時点ではLastRoots以外の2社が登録完了を果たし、1社のみとなっている。
この「みなし仮想通貨交換業者」とは登録制度導入前から交換業を営み、正式な登録業者ではないものの、すでに事業を営んでいたことや現在審査中であることから限定的に仮想通貨交換業を営むことが許可されている事業者のことを指す。ただ、同制度が導入されたのは2年前であり、審査を通過していないのにもかかわらず正規登録業者と同様に交換業を営める状況に対して危機感を抱く声や消費者保護を果たせていないのではないかという声もみられている。
その反省を生かし、2020年予定されている金融商品取引法・資金決済法の改正では、仮想通貨の証拠金取引サービスを提供する業者が1年半以内に金商法第1種での登録完了が果たせなかった場合、業者はみなし業者としてのサービス提供は許されず、サービス停止の処分を受ける方針となっている。
オウケイウェイヴの暗号通貨業界での動き
今回発表された第三者割当増資の引受先である株式会社オウケイウェイヴは、国内外で暗号通貨・ブロックチェーン分野での動きが活発な企業として知られている。
2015年時より、同社が運営する質問サイトOKWAVEで、質問への回答の謝礼としてビットコイン(Bitcoin/BTC)を送付できる機能を実装。2018年9月には同社海外子会社がマイニング企業と業務提携を行いクラウドマイニング事業に参入。12月には技術大国として知られるイスラエルに、ブロックチェーン技術含めた次世代技術の研究機関[OK ISRAEL LAB]を設立。2019年4月には同社グループ企業が、ブロックチェーン技術を用いた分散型モバイルウォレットを開発し、Android向けのベータ版アプリを公開。5月にはデジタルアセットファイナンシャルサービスおよびアドバイザリー会社であるDiginex Limitedとブロックチェーン技術を活用した両社の成長戦略を推進するための協業に向けて基本合意を行い、STO環境に関する共同研究を進めている。
こうした動きのなかで注目されているのは分散型モバイルウォレットである。オウケイウェイヴはLastRootsを子会社化しており、現在みなし業者でありセキュリティ強化を図っている同社運営取引所サービスにおいて、同サービスと連携するのではないかとも期待されている。
- STO(Security Token Offering) セキュリティトークン(ST)と呼ばれる様々な資産によって価値の裏付けがなされているトークンを利用して行う資金調達法
まとめ
株式会社LastRootsは国内唯一のみなし業者である。みなし業者として長く存在していたコインチェックにはマネックス、みんなのビットコインには楽天、LastRootsにはオウケイウェイヴと大手企業の資本が参加しており、既存サービスとの連携・新たなサービス提供が期待されている。交換業者として未だ登録を完了させていないLastRootsは他社に後れを取っているが、[c0ban.tv][k1ban]などの提供サービスから、今後の動きが期待されている企業でもある。
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参考:株式会社LastRoots[第三者割当増資に関するお知らせ]