ニュース

FATF、暗号通貨ガイダンス発表[実現性に疑問の声]

記事のポイント

  • FATFの暗号通貨ガイダンスついに発表
  • 現実的に順守することが困難な基準
  • G20でのFATFガイダンスに対する

金融活動作業部会(FATF)は暗号通貨に関する資金洗浄・テロ資金供与対策に対する国際基準での明確な法規制・ガイダンスを発表した。だが、同ガイダンスは実現性に関して疑問視する声も上がるほど厳しいものとなっており、市場・産業の健全化を促すどころか、規制回避手段を取るものが増え市場の透明性低下、それに伴い市場の健全化が阻害されることも考えられるとする意見がみられている。

 

FATF、暗号通貨ガイダンス発表

622日、金融活動作業部会(FATF)は暗号通貨に関する資金洗浄・テロ資金供与対策に対する国際基準での明確な法規制・ガイダンスを予定通り発表した。同ガイダンスでは、今年2月に草案として公表されたものと同様に、取引所など業者に対して取引を行ったものの氏名や口座番号、場所、そして送金相手の氏名と口座番号に関する情報を追跡し共有することを求めるべきであるという内容のものとなっている。今回のガイダンスでFATFが、各国政府が取引所に対して要求する情報として掲げたのは以下の5点である。

  1. 送金者の名前
  2. 送金に利用されたウォレットアドレス
  3. 送金者の氏名・住所など個人情報
  4. 受金者の名前
  5. 受金者のウォレットアドレス

国際送金・個人間送金での利用も増加しつつあることから、既存の金融機関のような高いセキュリティ基準が設けられることは予想されていたが、上記にある情報をきちんと事業者が把握するためには、世界各国での取引所・ウォレット業者の連携・協力体制構築が必要不可欠である。

  • 金融活動作業部会 Financial Adtion Task Force(FATF) 麻薬・賄賂・脱税に係る資金洗浄やテロ資金供与への国際的な対策を協議する国際的な政府機関である。G7を含む35か国と2つの地域機関(欧州委員会・湾外協力会議)が加盟している。

 

現実的ではないガイダンス

草案発表時にも、この規制が厳しすぎることや技術的にもコスト的にも現実的でないこと、暗号通貨の特徴である素早い国際送金を可能にするといった利点が失われてしまうということが指摘されていた。市場の健全化・犯罪利用防止のために暗号通貨の利点が失われてしまうことに目をつぶったとしても、国境なく世界中で取引を行うことが可能な暗号通貨取引に関するすべての情報を業者が把握し、さらに206ヵ国も存在する国々と連携を取り、それら情報を共有するというのは個人情報保護の観点から見ても、取引所に係る負担から見ても、不可能ではないかという指摘が多くあふれている。さらに、暗号通貨のウォレットというのはウォレットアドレスが特定できても、それを実在している人物と結び付けるのは困難であり、この世に存在するすべてのウォレットサービス・取引所サービスを把握し、本人情報と結び付け、共有するのは現実的ではないとされている。

さらに、この厳しすぎる規制のために取引所サービスは縮小し「分散型取引所」を利用したP2P取引へ移行する動きが強まり、結果として健全な技術進歩・発展が阻害されてしまう危険性についても意見がみられている。

 

「ガイダンス」に対する解釈

このFATFが発表した「ガイダンス」は各国が犯罪者やテロリストの動きに対して対策を取る際の基準となるものであり、具体的な対策・規制を決定し命令するものではない。そのため、このFATFの発表したガイダンスをFATF加盟国がどのように解釈し、規制を行っていくかによっても市場・産業に対しての影響は変化していくとみられる。

このガイダンスは20206月に施行される予定であり、加盟国・地域はこのガイダンスを採用・規制策定までに1年の猶予を与えられている。これまで暗号通貨に関して明確な法規制を整備してこなかった国・地域であっても、これにより動きが活発になると予想され、これが良い影響となるかどうか注目が集まっている。

また、一国ではなく世界的にサービスを提供している取引所の動きも注目されるが、このガイダンスをもとに取引所らがお互いに信頼できる業者と飲み取引を行うような仕組みを作ることでの市場の健全化を期待する声もみられている。

 

まとめ

2018年にFATFがガイダンス策定計画を発表し、予定通りにそのガイダンスが発表されたものの、内容は取引業者・ウォレット業者に相当の負担をかけるものとなっているほか、現実的にガイダンスを順守するのは困難ではないのか、という意見が多くみられるものとなっている。暗号通貨が資金洗浄やダークマーケットで利用されているのは事実であり、昨今のハッキング事件やICO詐欺の規模の大きさなどから規制が厳しくなるのも仕方のないことかもしれないが、現実的でない規制を設けたことにより産業が委縮、規制回避手段として特定の困難な取引手段が主流となり市場の健全化を阻害する可能性も存在する。ガイダンス施行まで1年という猶予が存在しているが、各国がどう動くのか注目しておきたい。特に日本は20204月に先日成立した資金決済法・金融商品取引法の改正法が施行予定であり、これと合わせた国内環境の変化に関しても予想を立てつつ個人の資産管理に関する準備を進めておいた方がよいだろう。

 

関連記事

 


参考:金融活動作業部会[GUIDANCE FOR A RISK-BASED APPROACH TO VIRTUAL ASSETS AND VIRTUAL ASSET SERVICE PROVIDERS]

関連記事

  1. DAppsプロジェクト情報収集プラットフォーム

  2. GBPで裏付けされたステーブルコイン[イギリスの取り組み]

  3. イラン中央銀行は業界に危機感

  4. ついにビットコインATMを全米展開する企業が現れる

  5. CoinCheckは未だ認可降りず

  6. ロシアはデジタル通貨を合法とはしない

PAGE TOP

ニュース

JVCEA、金融庁に税制改正要望書提出[暗号通貨の取引環境]

ニュース

イラン、マイニングの電力価格決定[通常より割高な設定]

ニュース

AerialPartners、[Guardianプレミアム]の受付開始

ニュース

監視ツール[SHIEDL]公式リリース

ニュース

BSV、アップデート[Quasar]予定【ブロックサイズ128MBから2GBへ】…

ニュース

BofA,Ripple社技術引用[RippleNet・xCurrent]

ニュース

Fidelity子会社、信託業登録申請[大手金融企業の動き]

ニュース

昨日(7/20)のニュースまとめ