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金融庁、フィスコに対する業務改善命令[サービスへの影響はなし]

記事のポイント

  • 金融庁、フィスコに対する業務改善命令
  • 法令順守体制を始めとする内部管理体制に問題
  • 業務改善命令によるサービス提供への影響ななし
  • フィスコの今後

金融庁は株式会社フィスコ仮想通貨取引所に対する行政処分を発表した。問題がみられたのは法令順守体制をはじめとする内部管理態勢に関するものであり、国際的にも同分野での法規制遵守等のコンプライアンス意識が高まっている中でのこの指摘は、国内の暗号通貨市場に水を差す行為ではないかという厳しい意見も見られた一方で、国内取引所の中でも影響力の少ない取引所であるために特に関心もない、という意見も見られた。

 

フィスコに対する行政処分

621日、日本経済新聞の報道通りに金融庁は株式会社フィスコ仮想通貨取引所に対する行政処分を発表した。同庁は同社に対して2019213日より立ち入り検査を行っていたが、この検査により同社経営陣に法令等遵守の重要性の認識が欠けており、法令等遵守態勢をはじめとする内部管理体制を整備しておらず、複数の法定違反を招いていたほか、経営計画等の経営上の重要課題について取締役会で議論していないなどの経営管理態勢に関する問題も明らかとなった。

法令順守体制・内部管理体制に不備があったことから、資金洗浄やテロ資金供与に関するリスク管理や外部委託管理態勢性にも問題が認められており、業務改善命令が下された。この処分でフィスコの提供するサービスへの影響はなく、日本円の入出金、暗号通貨の預入・送付、暗号通貨取引を含むすべての機能に関して通常通りサービスを提供すると発表されている。

  • 資金洗浄  マネー・ローンダリング(Money Laundering 犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為。資金洗浄を放置すると、犯罪による収益が、将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に使用され、組織的な犯罪及びテロリズムを助長するとともに、経済の健全な成長・発展へ重大な悪影響を与えるとされており、世界全体で防止対策が講じられている。

 

リスク管理や法令等遵守態勢での問題

フィスコは20189月に約70億円相当のビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、モナコイン(MONA)を流失させた国内取引所Zaif事業を同年11月に継承し、2019年中にフィスコ仮想通貨取引所とZaifを統合する計画にあることを明らかとしていた。

この統合予定のZaif20183月には「システム障害や、不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生している。しかしながら、経営陣は、その根本原因分析が不十分であり、適切な再発防止策を講じておらず、顧客への情報開示についても不適切な状況」という内容で、6月には「システム障害や多発する苦情等、当社が直面する経営課題に対し、組織的かつ計画的な対応が行われていないなど当社の経営管理態勢に問題が認められた。また、法令遵守、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策、利用者財産の分別管理などの内部管理態勢においても問題が認められた」、そして9月には「当社が保有していた仮想通貨が不正に外部へ送信され、顧客からの預かり資産が流出するという事故に関する報告を求めたところ、発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められた。」という内容で3度もの業務改善命令を受けている。いずれもリスク管理や法令順守態勢に関する指摘であり、今回のフィスコに対する行政処分と重なる部分がある。今回の業務改善命令で、同社がどこまで誠実に対応し内部管理体制の見直し、再構築を進めていくのかに注目が集まる。

 

フィスコの今後

業務改善命令が下された以上、この命令を真摯に受け止め適正かつ確実な業務運営を行うための対応を取ることが求められるが、フィスコは2015年から経常利益が連続して赤字となっており、自己資本比率は16.6%となっている。自己資本比率というのは総資産に対する自己資本の割合を表すもので、この比率が大きいほど自社で運営し、資金に余裕があるということになる。企業の事業体系によっても異なるが、一般的に健全とされる自己資本比率は40%とされており、フィスコの16.6%という値はこれを大きく下回るものとなっている。

市場の低迷や法規制整備で変化していく環境、法令等遵守のハードル向上、セキュリティ水準の上昇と仮想通貨交換業に参入するコスト・継続していくコストは確実に増加していることから、場合によっては参入を断念したマネーフォワードやユナイテッド、マイニング事業から撤退したDMMのように、取引所運営継続を中断する可能性も決してないとは言えない。もちろん、国内大手取引所であり、数多くのサービス・種類を扱っていたことから多くの利用者が存在していたZaifとの統合を前に、撤退という選択肢を選ぶ確率は低いだろうとみられる。

 

まとめ

政府は今年10月に予定されている金融活動作業部会による対日審査を前に、仮想通貨交換業者を含めた金融機関への立ち入り検査等を通じて内部管理体制の徹底、資金洗浄テロ資金供与耐セクの強化を進めていく方針であることから、今後も登録済み交換業者において行政処分が下される可能性もある。

  • 金融活動作業部会 Financial Adtion Task Force(FATF) 麻薬・賄賂・脱税に係る資金洗浄やテロ資金供与への国際的な対策を協議する国際的な政府機関である。G7を含む35か国と2つの地域機関(欧州委員会・湾外協力会議)が加盟している。

 

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