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Facebookの暗号通貨プロジェクト[Libra]【強制停止の可能性も】

記事のポイント

  • Facebookの暗号通貨プロジェクト[Libra]
  • 多言語でのホワイトペーパー公開
  • 各国の計画に対する反応
  • アメリカではLibraに関する公聴会を予定

大手SNS企業Facebook(フェイスブック)による暗号通貨プロジェクト[Libra]のホワイトペーパーが公開された。VISAMasterCardPayPalといった大手企業や非営利団体など様々な業種・団体が参加していることから注目が集まっていたが、各国の政府機関ではこの計画に慎重、または批判的な反応がみられている。

 

Libraに対する各国の反応

618日、予定通り大手SNS企業Facebook(フェイスブック)による暗号通貨プロジェクト[Libra]のホワイトペーパーが公開された。同ホワイトペーパーは英語だけでなく、日本語版などを含めた多言語で同時公開されており、同プロジェクトが特定の国・地域での利用を目的としたものではなく、他の暗号通貨のように幅広い地域で利用されることを目的にしたものであることがわかる。ただ、この[Libra]に関しては、必ずしも好意的な意見ばかりではないようである。

日本では619日に開催された金融政策決定会合の結果に関する記者会見の中で、黒田総裁はこの計画について「計画に関する報道は認識しているが、内容については十分な理解を持っていないため具体的なコメントは控える。日本銀行としてはどのようなものであれ、金融システムにどのような影響を及ぼしえるのかなどを内外の関係当局と連携しながら動向については観察していきたいと考えている。」とし、G20やこれまでの意見と同じように、注意深く観察していく考えを明らかにした。

欧州の中では暗号通貨に寛容的であり、比較的早期に暗号通貨関連の規制整備を行ったフランスでは、同計画についてプライバシーや資金洗浄・テロ資金対策なその観点から同プロジェクトが「主軸通貨になることはない」と評価し、国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行(BIS)、金融安定委員会(FSB)に対してこのLibraに関する報告書作成を要請したとしている。また、暗号通貨・ブロックチェーンに関しては慎重な姿勢のドイツでも、「暗号通貨発行」ということに関してではなく、同プロジェクトが金融仲介業者による金融業務になる可能性があり、その形態から規制当局は警戒しておくべきだという意見を述べた。イギリスの中央銀行総裁は、他の暗号通貨プロジェクト同様に公平な視点で評価するとし、同プロジェクトが世界最高水準の規制に準拠する必要があることや同国の規制当局が国際規制機関などと協力して厳格な審査を行っていくことを示した。

だが、アメリカでは同プロジェクトに関して批判的な意見が強くみられている。Facebookの企業規模やSNS基盤として世界に及ぼす影響力の大きさやこれまで問題となった個人情報保護に対する態勢、情報流失といった事件から、国家の安全保障や国民のプライバシーに関するリスク、サイバー攻撃・取引に関するリスクなどを考慮し、規制当局による調査・審査が完了するまで開発を停止するよう要求。7月16日に同プロジェクトに関する説明をFacebookに求める公聴会開催が予定されており、この結果で動きが見られそうである。

 

Facebookの暗号通貨計画[Libra]

LibraFacebookが国境に影響されない通貨と金融インフラの構築を目的として開発・発行する暗号通貨プロジェクトである。スマホ1つでどのようなサービスも利用できるようになった一方で、世界の17億人もの人々が、金融インフラが存在しないために銀行を利用できず、金融サービスを利用できない、もしくは利用するにしても高い手数料が必要な状況であることを指摘し、持続可能かつ安全で信頼できる国際的な金融システムの実現を目指していく。以下、それを実現するための同プロジェクトのポイントである。

  1. 安全でスケーラブルで信頼性の高いブロックチェーンを基盤とする
  2. 実態価値を付与するための資産のリザーブを裏付けとする
  3. エコシステムの発展を目指す独立したLibra協会がLibraを運営する

同コインの価格は提携企業が提供する法定通貨の価格に連動し、銀行預金や短期国債といった実在する資産によって価値の裏付けが行われるため、長期的にも他の通貨と比較して安定した取引が可能になる。もちろん、このブロックチェーンはオープンソースであり、パブリックブロックチェーンとなるため、価格安定に関する信頼だけでなく参加企業の動きやプロジェクトに関する透明性が保たれ、安心して利用できるようになっているという。しかし、この仕組みは参加パートナーの合意に左右されやすく、透明性が高くとも公平なブロックチェーンだとは言い切れないという指摘も存在している。

  • ブロックチェーン技術 取引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげ、取引履歴・情報を正確に維持しようとする技術であり、P2Pネットワークを利用することで中央管理者を必要とせずにシステムを維持することが可能なものとなっている。分散され、中央管理者がいないため、データの改ざん・破壊に強いという特徴のほか、サーバーのダウンや中央管理者による不正にも強いものとなっている。

 

まとめ

2020年にサービス提供を予定しているLibraだが各国の反応、とくにアメリカでの反応を見るにこの予定には遅れがみられるのではないか、とされている。ノード参加には許可が必要である中央集権型な仕組みやこのプロジェクトの中心となっているFacebookが個人情報保護という点において非常に信頼のおけない実績を持つことからも、たとえプロジェクトが計画通りに進んでも市場の反応は冷ややかとなるのではないかともみられる。ただ一方で、このプロジェクトに対する様々な調査を受け入れ、政府機関等々の許可・信頼を得たうえでサービスを開始することで同社に対する信頼回復を可能にするのではないかともみられている。

 

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