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ベネズエラとロシア、ペトロの使用検討か[独自経済圏]

記事のポイント

  • ベネズエラとロシア、ペトロの使用検討か
  • 関係悪化するアメリカを排除する目的
  • 独自通貨による経済圏の構築

ロシア政府支援のテレビ局が「ロシアとベネズエラで政府発行の独自暗号通貨を利用することに関して議論を行っている」と報じた。しかしベネズエラは以前、同国の国債を支えているロシアに対してペトロでの返済交渉を行っていたが「暗号通貨での返済はない」と拒絶されており、そういったことを踏まえても今回行われているとされている議論がどこまで現実的なものとして進められているのかは不明である。

 

ロシア・ベネズエラでペトロ利用か

517日、ロシア政府支援のテレビ局が「ロシアとベネズエラで政府発行の独自暗号通貨を利用することに関して議論を行っている」と報じた。現在、この両国はアメリカからの制裁を受けている国であり、アメリカとの関係は悪化の一途をたどっている。そうした状況から、両国は貿易取引においてアメリカドルを排除し、独自の経済圏を構築するために、ベネズエラ政府が発行している独自暗号通貨ペトロを利用しようというのである。

特にベネズエラは独裁政治・人権問題などからアメリカ政府によって制裁が科されているだけでなく、国民の政府への信頼もなく年率170万%ものハイパーインフレを巻き起こし、法定通貨は通貨としての機能を果たせない状況となっている。そうした中で、ベネズエラ政府は他国の政府支援による債務再編を強く望んでおり、これにアメリカと対立しているロシアの支援を求めているという。また、ベネズエラはロシア含めた諸外国に、ペトロを利用した国に対しては貿易で大きな値下げをするなどの交渉も行っている。

こうした独自通貨利用による独自の経済圏構築という考えはロシア・ベネズエラ間だけでなく、同じくアメリカの制裁を受けているイランでも同様の動きが見られている。特にイランに関しては「イラン核合意」を維持し緊張度を抑えたいという合意当事国らの考えから、イランの経済を支援するための金融取引・貿易体制の整備が進められている。

 

暗号通貨ペトロ

今回、ロシア・ベネズエラの貿易取引にて利用が検討されているというベネズエラ政府が発行した暗号通貨ペトロは、同国の豊富な石油を担保として発行されている。ベネズエラは、南アメリカ大陸の中でも非常に天然資源が豊富な国として有名であり、原油の埋蔵量は世界一である。そのため原油価格の下落・政府の失策以前は南米最富裕国であり、この豊富な資源を生かした政府独自の暗号通貨というのは多くの注目を集めた。

しかし、同国が原油埋蔵量世界一とはいえ、どのくらい石油が存在しているのかは不明であり、それが本当に存在するのかを示す証拠も存在しないため、石油は担保としては機能しておらず、信頼のおけるものとはいいがたい状況にある。また、発行上限はあるのか、どのように発行するのか、といったペトロの発行システムは明らかとなっていないため、不透明なものとなってしまっている。

さらに20187月には、この価値の不透明なペトロを担保とした法定通貨の発行をおこなっており、何を目的としているのか不可解な行動が多く、ペトロへの不信感は募る一方となっている。特に201811月に同国のマドゥーロ大統領による「ペトロの基準価格を150%引き上げる」といった発表から、担保の存在意義はなくなってしまっている。

アメリカでは、このペトロ購入はベネズエラ政府の非人道的行為を支援することにつながるということから、ペトロを購入することは大統領命令によって禁じられている。

  • イラン核合意 正式名称は包括的共同行動計画(/JCPOA)。合意内容はイランが濃縮ウランや遠心分離機を大幅に削減し、それを国際原子力機関が確認したのち、見返りとしてイランへの経済制裁を段階的に解除していくというものである。実際にこの合意後イランは合意事項を遵守していることが確認され、機器の大幅削減などが盛り込まれ世界緊張度は緩和したが、各能力を維持した状態であることには変わりがなく、トランプ大統領は「致命的欠陥がある」と非難し、離脱した。

 

まとめ

ベネズエラはこれまでに同国政府が発行しているペトロの利用を拡大するために「ペトロを利用して原油を購入すれば30%の割引を行う」とインド相手に提案したり、ベネズエラの国債を支えているロシアに対してペトロでの返済交渉を行っていたりしている。しかしインドは、暗号通貨に関する定義・法規制が存在しない状況であると同時に中央銀行による禁止令が存在しているため、この提案は拒絶。ロシアは「暗号通貨による債務返済はない」と拒絶する姿勢を示していた。そのため、今回の「ロシアとベネズエラが貿易取引でペトロを利用する」という議論がどこまで現実的なものとして行われているのかは不明である。

 

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