記事のポイント
- 資金洗浄関与の疑い
- 取引所への捜査
- 取引の透明性
ルーマニア大手取引所が、資金洗浄に関与した疑いで逮捕され、アメリカへの身柄引き渡しが決定された。法規制で犯罪防止対策を取るほか、取引所の透明性向上の対策も求められる。
取引所、資金洗浄関与か
ルーマニアの最大手暗号通貨取引所であるCoinfiuxのCEOが逮捕された。これは同取引所CEOが犯罪行為で手にした暗号通貨と知りながら、その通貨での取引を容認し、資金正常の手助けをした疑いが欠けられたためである。今回のCEOの逮捕を受け、同取引所ではすべての取引が停止されている。
この犯罪行為はアメリカで起きたものであり、アメリカ捜査当局の令状に基づき逮捕され、今回裁判所で身柄を米国に引き渡すことが決定された。ただCEOは取引を容認した暗号通貨が、犯罪行為によって入手されたものだとは知らなかったと主張している。
- Coinfiux 2015年に設立したルーマニアの大手取引所。法定通貨はユーロとルーマニア・レイを扱っており、公式情報で約250億円相当物取引が行われていた。
- 資金洗浄 犯罪などで得た違法な資金をあたかも正当な取引で得た資金であるかのように見せかける目的で、犯罪収益を処理すること。money laundering(マネー・ロンダリング)ともいわれる。例えば、金融機関の口座に資金を入れ、様々な国・金融機関の口座へ資金を移動させ、出所をわからなくする手口などがある。この対策として金融活動作業部会(FATF)が各国の対応整備に動いている。
ルーマニアの法規制
ルーマニアは南東ヨーロッパに位置する国であり、周辺諸国同様技術開発に熱心な国家と知られており、暗号通貨への関心も高まり普及も進んでいる。2018年3月の世論調査では、都市に住むルーマニア人の半数以上が暗号通貨を認識し、40歳未満の60%が暗号通貨は将来の通貨になるだろうとしていた。また、技術開発に積極な国であるため、国民の関心同様、政府も暗号通貨関連の事業を積極的に支援している。
しかし、同国ではこうして発展に積極的ではあるものの、法規制整備はあまり進んでいない。暗号通貨が利用できる機会・環境は整備される一方で、法規制整備が追い付いていなかったことが、今回のような悪用を未然に防げなかった要因の一つとして挙げられている。
ただ同国では2018年7月に電子マネー発行に関する規制草案を発表するなど、暗号通貨が悪用されている事態に対する緊急の対応もしていた。
まとめ
暗号通貨に友好的な国で、こうした法規制整備がまだ進んでないために問題が起きるのは避けられない。世界的な統一基準での規制が施工される前に、各国で犯罪防止のための法規制整備を進めておくことが求められる。